アウトリーチからの心の復興
平成16年は総務省過疎地域等活性化推進モデル事業の指定を受けて『魚沼文化未来都市プロジェクト「サロンコンサートシリーズ」』に挑戦します。
〜サロンコンサートシリーズ〜
①情熱のヴァイオリン
久保陽子(ヴァイオリン)弘中孝(ピアノ)
穴沢ふれあい館 入場者56人
広神西小学校4年生 45人
小出小学校3年生 112人
②歌うトロンボーン
トロンボーン・カルテット・ジパング
小出スキー場ロッシ 入場者69人
須原小学校全校 154人
守門中学校全校 160人
③夢見るギター
高田元太郎(ギター)
宮修二記念館 入場者88人
堀之内小学校6年生 80人
④チェロに耳をすます
毛利伯郎(チェロ)梅村祐子(ピアノ)
広神コミュニティセンター 入場者81人
宇賀地小学校4年生 18人
小出小学校6年生 116人
⑤衝撃のサクソフォーン
昭和音大サクソホォーン
守門村議会議場 入場者103人
伊米ヶ崎小学校全校 108人
小出小学校4年生 143人
⑥世界はピアノの中に
弘中孝(ピアノ)
湯之谷村庁舎ロビー 入場者59人
東湯之谷小学校4.6年生 21人
井口小学校6年生 47人
⑦オペラ・アリアと世界の名曲あれこれ
金田泉(ソプラノ)山田祥雄(バス)
伊倉由紀子(エレクトーン)
小出ボランティアセンター 入場者20人
⑧スイスの音職人たち
河村典子(ヴァイオリン)白土文雄(コンラバス)オレク・リップス・リュミャンツェフ(アコーィオン)
堀之内にぎわい情報館 入場者35人
小出養護学校小学部.中等部.高等部 110人
⑨望郷の歌、故郷の歌
加来陽子(ソプラノ)能登伊津子(パイプオルガン)古橋潤一(リコーダー)
神湯温泉ロビー 入場者39人
入広瀬小学校全校 63人
上条小学校全校 74人
⑩講談とジャズ・ピアノ
宝井琴梅(講談)森下滋(ピアノ)
ベルスポット・ワン 入場者58人
広神東小学校5年生 50人
入広瀬小学校5.6年生 26人
サロンコンサートシリーズの成果と課題をシンポジウムで検証しています…
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このようにアウトリーチを取り組む中、平成16年10月23日午後5時56分、夕餉の準備にいそしむ時間帯に新潟県中越地方を大地震が襲います。
停電のため、光の無い真っ暗闇の中、多くの住民が野外で余震の恐怖に怯えながら幾夜も過ごし、途方に暮れたことが思い出されます。
中越大震災の記録映像⬇️
中越大震災の記録映像 頑張れ 新潟 まけるな ひるむな 中越・うおぬま あんさ&おっさ 作詞作曲編曲 桜井俊幸
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被害は震源地域近傍の市町村を中心に10市25町11村において、住家約11万6千棟、約12万1千世帯に一部損壊以上の被害が生じました。
このうち、被害程度の 比較的大きい半壊以上の認定を受けた住家は15,573棟15,788世帯に上っています。
余震のたびに増える避難者は一時、10万人を超え、人的被害は死者68人、負傷者4801人(重傷633人、軽傷4,100人以上)で未曾有の大被害となります。
東日本大震災には及ばないものの、山崩れや土砂崩れなどにより、鉄道も道路もライフラインも、至るところで分断されるなど大きな爪痕が残ります。
魚沼市小出郷文化会館も、地震の影響から建物の周辺が30センチほど陥没し、大ホールの天井や壁には亀裂が入り、音響反射板が壊れ公演中止を余儀なくされました。
私が小学校3年生の時に新潟地震を体験したことから、新潟地震の復興のシンボルとして建設された、新潟県民会館のことが頭をよぎります。
文化芸術からの復興も必要だという想いから、魚沼市小出郷文化会館を一日でも早く復旧したいと考え、10日間会館に泊まり込み、復旧工事の見積積算をします。(大工経験から容易でした。)
行政のトップ(魚沼市野村市長職務代理)を説得します。「一日も早く復旧して、自主事業や貸館事業をスタートさせたいのです。」
野村職務代理は「事業の予定はありますか?」「いっぱいあります。文化芸術の力で市民の皆さんの傷ついた心を救いましょう」「解りました。直ぐに復旧してください!」ありがたいお言葉でした。
野村さんは、小出郷文化会館のアウトリーチ事業で国の無形文化財の目黒邸や守門議場を解放するなど信頼関係が生まれていました。
まだ復旧工事費が予算化されていない中、即決判して市民のことを考えてくれます。流石です、長年の首長経験からの太っ腹の英断です。
早速、事務手続きをすませ、不眠不休の突貫工事を進めます。震災からわずか2週間で完工、小出郷文化会館は通常利用が可能となったのでした。
復旧した最初の公演は、延期になった小出中学校の合唱コンクールです。大ホールに響きわたる生徒の歌声は、父母と家族の心に共鳴して涙が溢れます。
会館の自主事業も再開です。まずは響きの森コンサートシリーズ第3「桐五重奏団演奏会」からスタートです。壁天井や音響反射板の復旧からの残響の変化はなく胸を撫で下ろします。
続いて、復興支援事業としてファミリーミュージカル「オバケちゃん」、ジョセフ・リン「ヴァイオリンコンサート」を開催、徐々に賑わいが戻ります。
グループバルの響きの森演劇シリーズ第4「片付けたい女たち」では、女優の松金よね子さん.岡田美也子さん.岡本麗さんが福山と折立の避難所を訪問して、励ましとともに被災者を招待してくれました。
こうした中、多くの皆さまからの義援金をいただき500万円を超えます。ありがたいお心に報えるよう被災者の心の復興を目的とする事業資金としました。
さて、私たちも受け身のままではいられません。12月中旬頃からは被災者へのアウトリーチ事業をスタートさせます。
まず、加来陽子さん、西野雅人さんと展開した「心のふるさとふれあいコンサート(社会包摂)」を被災者の傷ついた心のケアになるようにと企画。
12月13日から避難所となった湯之谷村こしじ荘や湯之谷電発折立寮、福祉施設、病院など9ヶ所で〜地震に負けずに頑張ろう〜と題して展開します。
合併を見込んで設立したNPO法人魚沼交流ネットワーク(当時理事長)と小出郷文化会館が主催、サポターズクラブがスポンサーになり、災害ボランティアセンターや(社)小出青年会議所と連携して実施します。
演目は心の癒しになるようにと懐かしい日本の歌から名曲.童謡の宵待草や雨降りお月さん、蘇州夜曲、赤とんぼ、クリスマスソングなどを選曲します。
カチューシャの唄 歌 加来陽子 ギター 西野雅人
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加来陽子さんの歌声は被災者の心を癒し励まします。歌を口ずさんででは涙しながらも手拍子をしたり、時には微笑んだりします。(映像をご覧ください⬆️)
特に加来さんの「♪ふるさと」は被災者の心に強く届き、感動と希望が心に蘇ります。音楽の力の素晴らしさを再確認します。
避難所のおばあさんは加来さんと握手を交わし、握りしめた手を離さず号泣します。この光景はスタッフの涙を誘い記憶に残るコンサートになりました。
文化芸術からの心の復興プログラムが進む中、「被災者の心の復興に寄与したい」と全国各地から慰問公演やチャリティコンサートの要望が殺到します。
しかしながら、被災者が途方に暮れている避難所では、慰問コンサートを喜んでくれる方だけではなく、迷惑に感じる方もいらっしゃいます。
そこで、文化会館が窓口となって被災地の状況やニーズを把握しながら慎重に調整し、会場を避難所とは別に設営して、希望者が鑑賞できるよう配慮しています。
アウトリーチからの心の復興プログラムは始まったばかりです。ジャンルによってはTime(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)を配慮する必要がありました。
これまでのアウトリーチ活動を検証評価するため、会館スタッフやプロデューサー、アーティスト、大学等と意見交換するシンポジウムを開催します。
つづく
付録
宮柊ニ記念館
広神コミュニティセンター
湯之谷村庁舎ロビー
堀之内にぎわい情報館 よってげてい
堀之内にぎわい情報館
地震による妙見関の土砂崩れ
堀之内竜光住宅
堀之内新道島の納屋
堀之内新道島の道路
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