衿ろ野未矢

【衿野未矢】
立命館大学産業社会学部を卒業後、秋田書店に入社。レディースコミックをはじめとしたマンガ雑誌編集を主に経験。漫画業界の裏側を赤裸々に語った「レディースコミックの女性学」(1993年)でライターに転身。


当初はメディア論を手がけていたが、その後は主に女性のライフスタイルを論じた著書を多数執筆。その他、依存性評論家、講演や漫画の原作、落語(ゑの未楽)、タレント、マラソン、など、幅広い活躍をみせた。

夫は魚沼市小出郷文化会館館長の櫻井俊幸。2013年9月8日、『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送)に夫とともに新婚さんとして出演した。


2015年より、全身性強皮症で療養。『新潮45』2016年10月号に闘病記「私はいつまで生きればいいのかな」を掲載、これが絶筆となった。掲載誌発売当日である2016年9月17日に逝去。53歳没。
内容説明
マラソンには「耐」や「孤」の字がよく似合う、はもう古い!記録よりも走ることを純粋に楽しむ人々によって迎えた空前のブーム。ファンラン実践歴七年の著者が、その一端を紹介する。

目次
1章 マラソン大会は縁日だ!(イベントとしてのマラソン大会;とりあえず走ってみよう;いざエントリー;実録・あるマラソン大会の一日;走っている間の出来事)

2章 続けたくなるトレーニング(日常生活にトレーニングを;皇居ランはなぜ人気があるのか;プチ観光しながら;ランニングクラブ;ラン仲間ができたなら;個人トレーニング悲喜こもごも) 

3章 行列のできるマラソン大会(のんびり大会から始めよう;はじめてのハーフ;達成感を味わいたいのだ;食べるために走る!;アフター充実の日帰りプラン;マラソン温泉旅行;応援も楽しいぞ!;レース後のお楽しみといえば)

4章 ランナーは、海を越える(旅も兼ねて海外マラソン;台湾でリゾートランニング;終章)

著者等紹介
衿野未矢[エリノミヤ]
1963年、静岡県生まれ。立命館大学卒業後、出版社勤務を経て作家に。依存症や不倫など、現代人の奥底にせまる執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報
“耐える”イメージの強かったマラソンが、いま空前のブームを迎え、純粋に走ることを楽しむ人が急増中。まずはファンランから始めよう!


マラソン編①
衿野未矢は魚沼コシヒカリ紅葉マラソン大会の立ち上げに関わっています。第1回大会は響きの森公園から入広瀬までの上りのハードコースでした。首都圏からマラソン仲間が大勢集まって交流の場が生まれています。
マラソン編②
衿野未矢、魚沼コシヒカリ紅葉マラソンは久しぶりのランです。結婚前はインストライター付きでトレーニングを重ねていましたが、この度は殆ど練習不足でのランでした。そんな中、秋晴れの紅葉路を楽しみながら走っています。
マラソン編③
衿野未矢は南魚沼グルメマラソンにエントリーします。この大会のプロデューサーはご友人の福田六花さん(医師、音楽家、アスリート)です。夫にも声を掛けて一緒に走ることになり、早起きして練習を始めています。
走って食べて飲んで楽しんだ大会になりました。
マラソン編④
衿野未矢は第2回魚沼コシヒカリ紅葉マラソンにも参加しています。東京夢舞マラソンのTシャツを用意して夫婦お揃いで走りました。

衿野未矢はこの大会をマラソン雑誌「ランナーズ」で紹介、この年もゲストランナーなべやかんさんを取材しています。首都圏から訪れたランナーたちと我家で打ち上げを楽しんでおりました。
マラソン編⑤
衿野未矢は2年連続南魚沼グルメマラソンに参加しています。この大会も東京夢舞マラソンのTシャツで夫婦お揃いで走りました。

衿野未矢さまは、ゴール近くに清酒八海山コーナーがあり、ニンマリとご馳走になっています。著書にある「ファンランへの招待」そのものです。

走って、食べて、飲んで…首都圏から訪れた友人ランナーたちと我家で打ち上げを楽しみました。
マラソン編⑥
衿野未矢はホノルルマラソンを6回走っています。最初は皇居(一周5km)ランから初め、2004年にホノルルフルマラソンを完走します。2007年は半年でホノルル、東京、パリを完走…自称「フルマラソン3都物語」と名付けています。

大会では、世界のトップランナー有森裕子さんや千葉 真子さんとも交流しています。未矢さまは、雑誌「ランナーズ」や「ナンバードゥ」などでファンランの楽しさを紹介していました。
マラソン編⑦
衿野未矢書「ファンランへの招待」より
ホノルルマラソンは、ハワイ州オアフ島ホノルル市で開催されるマラソン大会です。

大会は47回を数え、1977年以降は12月第2日曜日に開催され、日本航空が協賛しています。

参加者は160人から始まり、今や25,000人を超え、過半数近くが日本人ランナー…日本人のための観光イベントになりました。

マラソンを楽しみながら走り、食と観光も満喫する…未矢さまが提唱するファンラン大会ですね。
マラソン編⑧
衿野未矢はホノルルマラソン6回に次ぐ、東京マラソンを4回走っています。
平成19年、第1回東京マラソンに応募しますが落選…心底ガックリしたようです。
コースは都庁スタート、飯田橋〜自宅マンション前〜銀座〜浅草雷門〜東京ビックサイトがゴール。
目的の自宅前(九段下駅付近)は走れませんでしたが、応援を体験しながら大会の取材にもなります。
未矢さま、第2回から5回大会を運良く当選!悲願の東京マラソンをエンジョイしました。
マラソン編⑨
衿野未矢、東京マラソンは駒形どぜうチームの一員でもありました。
浅草の老舗駒形どぜうの渡辺会長の計らいで壮行会や店頭に応援垂れ幕を掲示して貰います。
沿道から「ミヤちゃん、エリノミヤ!」と応援されて走る喜びは最高らしい…未矢さまはご人徳…
マラソン編⑩
衿野未矢は第1回東京マラソン応募落選から気持ちを切り替えて、パリマラソンに参加しています。 

コースが魅力的です。スタートは凱旋門、シャンゼリゼ通りからルーブル、ヴァンセンヌの森、セーヌ川沿からブローニュの森を駆け抜けてゴール。 

応援はホットでピンポイント…地元高校30人が「ミーヤ、ミーヤ」と手拍子して貰って超ご機嫌だったようです。

次は香港、何でもシュンカン.瞬間を楽しむ未矢さまでした。
マラソン編⑩+①
衿野未矢は書籍「ファンランへの招待」や雑誌「ランナーズ」への寄稿からマラソン大会からオファーがあります。

依頼されると何でも快く引き受ける性格、笑顔で協力しています。

東京夢舞マラソンではゲストランナーやスターター、誘導スタッフとして活躍しました。
マラソン編⑩+②
都心を駆け抜ける東京夢舞いマラソンは募集開始と同時に埋まる人気大会です。

衿野未矢は2015年もゲストランナーとしてご招待いただきます。

料理研究家の土井善晴先生、アトランタパラマラソン金メダリストの柳川春己さんらゲスト仲間と走ります。 

ゲストランナー、スタッフ、ボランティアとフル回転…ファンランを存分に楽しんでおりました。
マラソン編⑩+③
衿野未矢、東京夢舞いマラソン大会2015もゲストランナーとして参加しています。

早朝は誘導ボランティア、開会式では挨拶、参加者と記念撮影と忙しく動きます。

テレビでお馴染みの天気予報士の森田正光さん、料理研究家の土井善晴さんとツーショット。

この大会が未矢さまの人生ラストランになるとは夢にも思いませんでした。
マラソン編⑩+④
衿野未矢は第28回つくばマラソンに参加します。フルマラソンは一万人、10キロは三万人と人気です。

コースは筑波大学が発着点、黄金色のイチョウ並木が続く…平坦で走りやすく、自己ベストを狙えます。

東京駅から大会バスが運行…帰りはSAショプへ…さつま揚げ、フランクフルト、肉まんとアフターも充実…ファンランを満喫します。

未矢さまは地元産野菜直売コーナーでビーツ、春菊、下仁田ネギを購入…参加記念のエコバッグが役に立ったとご満悦でした。
マラソン編⑩+⑤
衿野未矢は浦佐温泉山岳耐久マラソンに毎年参加しています。一村尾に寄席がある講談師の宝井琴梅師匠からのご紹介。

コースはハーフと同じコースを2度走るフルマラソンの2種類。高低差375mの峠を走る過酷な大会です。

「韋駄天キンバイ」チームに所属、何度も選手宣誓もつとめたようです。
衿野さまはマラソン旅行と銘打って前泊…地元から「温泉・お酒・コシヒカリ」と大歓待を受けています。

マラソン大会の夜は、秘境にあるランプの宿「駒の湯温泉」でクーリング・ダウン…満喫してます。
マラソン編⑩+⑥
衿野未矢はランニング雑誌「ランナーズ」に公使ともにお世話になっています。

毎年、アルビーズスポーツ財団(R-bies)が主催するランナーズパーティーに出席しています。

細かすぎるマラソン解説で人気の増田明美さんと意気投合して、交流を深めておりました。

衿野未矢さまのマラソン漫遊記でした。詳しくは「ファンランへの招待」をご覧ください。

私、不倫しかできない――「彼の都合がつく日」に会う女。デート後に何食わぬ顔をして家庭に帰る男。その行く末は……?

私、不倫しかできない――セックスした翌朝は自分の顔がイキイキして目もキラキラ輝いて。彼と別れてゼロになったら、女が終わりになって干からびちゃうような気がして……。

「会いたい日」ではなく「彼の都合がつく日」に会う女。デートを楽しんだ後に何食わぬ顔をして「ただいま」と帰れる男。十年以上も家庭ある男と付き合い続けた結果、果たして何がもたらされるのか? あえて泥沼の関係にはまりこむ女性たちの性愛心理の深層に迫る衝撃的ルポ!
十年不倫
衿野未矢/著
484円(希望小売価格)
内容紹介
「十年不倫」「依存症の女たち」など、多くの女性の心に迫るノンフィクションを書いてきたノンフィクション作家の衿野未矢さん。 

40代後半にさしかかった頃から「そそどうしても結婚したい」と思うようになり、震災でその思いをさらに強くし、恋人もいないところから、大人の婚活を開始。1年後に魚沼在住の男性と”がぶりより婚”(本人談)を成功させます。 

自分で婚活をした結果、40代以上のオトナ婚には、世にあふれる、従来の恋愛マニュアルや結婚ノウハウ本は、全く使えないことを実感し、ご自分のカラダを張った貴重な経験を面白おかしく綴りながら、40代で嫁に行くための超実用的な「50の法則」をノンフィクション作家ならではの冷静な目で導き出します。 

「結婚しないつもり」ではなかったのに、いつの間にか独身のまま40代になっていた女性たちの必読の書です!! 
〈法則の一例〉 
【ステキな恋をしたいという願望を捨てる】 
【すぐに出会える男に期待するな】 
【結婚願望を隠さない】 
【ふられてもひきずらない】 
【駆け引きをしない】 
【手料理は「写真だけ」】 
・・・・・・・・・・
内容(「BOOK」データベースより)
結婚を迫ってはいけない…×、独身男性と知り合う機会を増やせ…×、手料理で彼の胃袋をつかめ…×、今までの“婚活必勝ルール”は、40代には逆効果!?ノンフィクション作家の、崖っぷち婚活記。
結婚に焦り、不安を抱える独身アラサー・アラフォー女性達に、朗報となる一冊が今年1月に発売された。ノンフィクション作家・衿野未矢さんの著書、『“48歳、彼氏ナシ“私でも嫁に行けた!オトナ婚をつかみとる50の法則』である。

47歳で婚活をスタートし、48歳にして人生で最愛のパートナーと結婚を果たした衿野さんが見出したその法則は、“手料理は写真だけ”、“家には泊めない”など、通常の恋愛マニュアル本には絶対に載っていない、既成概念を吹っ飛ばす内容が満載で、勇気が湧く。そんな遅咲きの衿野さんだからこそ分かり得た、婚活で勝つための“普通じゃない”法則について、伺った。
出会いの場は「期待せずに行く場所」
――衿野さんが旦那様と出逢ったのは、社会人サークルだったそうですが、婚活の場の代表格でもあるお見合いパーティーや合コンと、社会人サークルとの“出会いの場”としての違いはどんなところでしたか?

衿野未矢さん(以下、衿野):社会人サークルは“気負うことなく行ける”ということが、あからさまな婚活の場と最も異なるところです。合コンやお見合いとなると装いも気合いを入れていきますし、何より期待しますよね。必要以上に緊張して、素の自分を見せるのも難しい。そんな中で声をかけられなかったり、収穫が何もなかったら「お金も時間もムダにしたなあ」なんて、凹むと思うんです。

一方で、サークルは期待せず、気負わないで参加できるし、恋愛としての出会いには恵まれなくても、共通の趣味で繋がっているので興味のある情報を収集できる。しかも、そこで得た人脈は、その後も色んな場面で役立つんですよ。実際にサークルを通じて出会った方とビジネスをすることもよくあります。

「家庭的な私をアピールする女」と「ぬるま湯に浸かる男」
――衿野さんは、お付き合いすることになっても「結婚するまで家には泊めない」というポリシーを大事にされていましたが、その法則に辿りついた経緯が気になります。

衿野:友人の彼で、長年恋人同士でいるにも関わらず、女性側が「結婚したい」と言っても、なかなか結婚を決意してくれないという人がいました。2人はいわゆるプチ同棲状態が続いているカップルで、彼女は家庭的な女性だったので、日頃から得意の手料理も振る舞っていたようですが、彼は結婚しなくても居心地の良い環境が常に維持されているため、その状態にすっかり甘えきってしまっていた様子でした。

――女性が家庭的な部分を見せることで、結婚生活を想像してもらいやすくなる気もするのですが、そうでもないのでしょうか……?

衿野:女性側としては、「家庭的な自分」を見せることによって、「いつかは向こうから結婚したいと言ってもらえるかもしれない」と期待してしまいがちですが、結婚に執着のない男性は、まさかそんなところまで考えていないというケースがほとんど。実際にそうしたプチ同棲状態から抜け出せず、結婚出来ないカップルは何組も見ていたので、自分のパートナーには、絶対に同じ状況に安住してほしくないと思い、結局機会があっても彼を家に泊めることはありませんでしたね。

時には「捨て身な姿勢」が功を奏す
――そういうことだったんですね。その後、同棲カップルのお2人は別れてしまったのでしょうか?

衿野:30代から付き合っていた2人ですが、女性側の方が40歳を目前に控えたある日、停滞した状況を何とか打開する為に、一大決心をしたんですよ。それが「転職」とそれに伴った「引っ越し」でした。
それまで簡単に彼女との居心地の良い生活を手にしていた彼は、彼女が突如、転職に踏み切り、一人暮らしをせざるを得なくなった状況に完全に焦ったようで……。その後、ようやく2人は結婚しました。

――すごい! 女性側にとってはかなり大きな賭けでしたね。ある意味“捨て身の姿勢”が必要ということなのでしょうか?

衿野:そうですね。その決断で2人が破局する可能性もありますし、女性側に打算的な考えは存在しなかったでしょう。
逆に、30代後半で彼に「結婚したい」と言えず、何年も同棲状態に陥ってしまっている女性もいますが、彼に結婚したいと伝えないのか尋ねたところ、「結婚を断られて独り身で迎える40歳と、このまま結婚出来ずに半同棲状態で迎える40歳を想像してみたら、結婚出来なくても、彼の隣に居られる40歳の方が幸せな気がする」と言っていました。それから数年たった今、その女性は結婚できていません……。 

やはり、本気で結婚したいのであれば、計算したり、中途半端な駆け引きをしようとするのは良くありませんね。相手の男性が大人の男性であればあるほど「この女性は計算しているな」ということが透けて見えてしまいますし。賭けに出るのであれば、先ほどの例のように、覚悟を持って挑んだ方が良いです。正直、そこまでしないと動かない男性が増えているのも事実ですね……。
「結婚願望が薄い男」が狙い目かも
――文化会館館長である衿野さんの旦那様は、出逢った時「俺は文化会館と結婚した」と豪語するほど、結婚願望の薄い男性だったそうですが、そんな旦那様が結婚に至った決め手は何だったと思われますか? 

衿野:夫に聞いてみたところ、「こんなに『結婚したい』と言ってもらえてありがたい」と思ったことが結婚への大きな引き金となったようです。私は付き合い始めた当初から「結婚したい」という言葉を発し続けてきましたが、彼にこれまでの交際相手のことを尋ねてみると、そこまで「結婚したい」とはっきり意思表示してきた女性は1人もいなかった様でした。 

いったん男性の方が「結婚願望がない」と表明してしまうと、結婚願望のある女性はどうしても直ぐに引いてしまいがちですが、実はそういう男性こそ、狙い目かもしれません。夫のように自分で壁を作ってしまったことで、そこに一歩踏み込んでくる女性が今までにいなかった可能性も高いですから。

――最後に人生の先輩として、「結婚したい」または「結婚なんて考えられない」独身のアラサー女性達に、メッセージをお願いします!

衿野:独身女性は「結婚したら、幸せになれる」という考えに陥りがちな方が多いですが、「幸せになる為に結婚するのではない」ということだけは伝えておきたいですね。
結婚を自分が幸せになるためのツールにしてしまうと、相手の男性を条件で選定してしまうことにもなりかねないですが、結婚はあくまで「2人でこれから人生を共に歩んでいこう」というお互いの同意なのです。もちろん楽しいだけでなく、大変な側面も沢山あるので、そこに自分が上手くハマっていくことで、初めて本当に幸せになれる。

だから、20代や30代で「結婚がリアルじゃない」と思う人は、それはそれで良いと思います。今の時代は結婚しなくても幸せに暮らしている方が沢山いるわけですし。そういう人は目一杯、今の目の前の独身生活を謳歌した方が、結果的に後悔がないし、満足度が高い。周囲の意見に左右されて、焦る必要なんて全くないんです。 

私は心底、40代まで独身でいて良かったと思っていますよ。だって、こんなに楽しいオトナ婚が待っていたんですもの。まさに“逆転ホームラン”です。
なので、結婚に焦っている女性に出会うと、よく言うんですよ。「あなたはここまで独身でラッキーだったわよ。だって、これから楽しいオトナ婚ができる可能性が十分あるんだもの」ってね。

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未婚女性は試す価値あり!婚活シートって?
(取材・文=編集部)
友人のブログより

9月17日の夜、衿野未矢(本名:桜井規枝)さんが逝去されました。
衿野さん、あなたの壮絶な闘病記が掲載された、新潮45が首都圏の書店に並んだことを見届けたように、発売日に逝ってしまわれるなんて、あなたは最後まで作家だったのですね。

私が初めてあなたと出会ったのは20年前の1996年のことで、東京にて行われた立命館大学OGイベントでした。
あなたは新進気鋭の33歳のノンフィクションライターで、専門学校で講師をされたり、漫画の原作を手がけられたり、と幅広く精力的に活躍されていました。

その頃、私は28歳で、東京の霞ヶ関で働き、行政と法律の世界に魅了されはじめていました。
女性の活躍には3つのM(Manager上司,Mentor相談相手,Modelお手本)が必要と言われていますが、東京には地方にいなかった女性の上司がたくさんおり、そしてあなたは私のメンターでありモデルとなる女性でした。私たちは意気投合し、会えなくてもずっと連絡は取り合ってきました。

その後、私はUターンした配偶者を追うように北海道に移住し遠くなったのですが、あなたからはたくさんの著書を頂戴し、メールの交換や、上京した時にお目にかかったりという関係が続きました。

今から10年前の2006~7年頃、私の周囲では定年退職前後の上司やその家族が、不慮の事故や急病でたて続けに亡くなりました。

そのとき、私は初めて「家族で楽しく暮らす定年後の時間なんて存在しないかもしれない。明日、余命を告げられても満足できる今日を過ごしているか」という焦燥感に駆られ、「座っていれば退職金が出る」という地方特有のけだるい公務員の上司がたくさんいるオフィスで、上司のかわりに働き、かつ2人の子の育児に奔走している自分に愕然としました。

40歳台を目の前に社会保険労務士試験に合格した私は、どうしても「恵まれている」という国家公務員を辞めたくてたまらなくなったのです。
あなたに自営業になることを相談したとき「会社勤務は組織という防波堤があるけど、個人事業主は世間の荒波にたった一人で立ち向かう勇気が必要」という言葉とともに、私の背中を独立開業へと押してくれました。

なんと、札幌で開催した開業記念パーティにもあなたは交通費を自ら捻出して羽田から飛んできて下さり、スピーチをして下さいました。
あなたのスピーチは私の大切な宝物です。
私は子育てしながら社会保険労務士として少しずつですが事務所経営を軌道にのせることができ、今日に至っています。

東日本大震災をきっかけに生涯の伴侶を求めたあなたは、49歳で新潟県魚沼市の桜井俊幸さんと結婚され、何のためらいもなく東京から新潟県魚沼市に移住されました。
その年の年賀状には「雪国仲間になりました」という言葉と、旦那様とともに雪の中にいるあなたの写真がありましたね。

あなたは著書で「大好きな旦那様のいる魚沼だから、私も大好きになれるだろう」と書いてましたが、そのいさぎよさに、いつまでも「北海道に骨を埋める覚悟ができない」私は敬服しました。
あなたが病魔におかされており、深刻であることはブログで初めて知りました。

実は昨年末頃からあなたのブログが更新されなくなり、これは何か重大な病気かもしれない、とドキドキしていました。
http://www.erino.jp/
8月に自らの死を悟ったブログが更新された夜、私は久しぶりに、数年ぶりに、声をあげて泣きました。

ほんの少し前を走っていた2つのMである女性の先輩が、53歳という若さで逝こうとしていることがどうしてものみ込めませんでした。
そして10年前に複数の上司やその家族が定年前後に病気で逝去したあの衝撃がフラッシュバックし、再び50歳を前にとてつもない焦燥感に駆られました。

立命館大学東京校友会の竹内美奈子会長が、みんなを代表して東京から新潟へ赴いてあなたを見舞い、その内容を伝えてくれました。
面会の別れ際、あなたは竹内さんに「またね」と手をふったのだそうです。

私は竹内さんのように勇気がなかったのでしょう、躊躇しているうちに、あなたは趣味のマラソンのようにこの世の道を全速力で駆け抜けていってしまったのです。

9月20日、首都圏から3日遅れて新潮45が札幌の主な書店に並びました。
この日の朝に、魚沼ではあなたの告別式が営まれ、涙雨が降ったと旦那様はFacebookでお知らせしています。
衿野さん、あなたの肉体はこの世の中から旅立ちましたが、あなたは今も私やたくさんの時間を共有した人々の中で生き続け、その活力となりまだまだ存在し続けています。 

人間には寿命があり、いつかはこの世から旅立つのですが、あなたは「明日、余命を告知されても満足できる今日を生きろ」と、私にメッセージを残していったようです。
あなたに出会えて、本当によかった。
私の肉体がいつかこの世から旅立ち、あなたのいる世界で再会する日まで
「またね」


http://blog.livedoor.jp/sr_sakurasakuyo/archives/1061183762.html

私は今、ベッドで思う。これまで名前や職業、体型や外見が変わっても、私は私だった。しかし死の先は、まったく別の存在になるのだろうと……。

最初に下った診断は逆流性食道炎。40代半ばから予兆は表れていたのだが、「お酒を飲み過ぎた」と自戒するくらいだった。ところがその後、急激に食欲が落ち、皮膚がまだら状に変色。膠原病のひとつ、「全身性強皮症」だと分かったのは昨年の秋だった……。

『十年不倫』『セックスレスな女たち』などで知られる女性ノンフィクション作家が、病床でスマートフォンに綴った壮絶な闘病記。
私はいつまで生きればいいのかな―新潮45eBooklet
衿野未矢/著
読者のブログより

『新潮45』と言う雑誌の2016年10月号だ。この中に衿野未矢と言うノンフィクション作家の手記がある。
『私はいつまで生きればいいのかな』
軽そうな表現の割には、重い響がある。副題には「53歳、難病で死を覚悟して」とある。この雑誌のことも、この作家のことも知らなかった。

その事を私が知ったのは昨年9月のことだった。立命館大学奈良県校友会で若手校友会と言うのを立ち上げるので、そのための準備会を開いたのだが、その会議の後で、雑談をしている時、Tさんが
「いつもFACEBOOK読んでますよ。でも中尾さんの文章は長いわあ。FACEBOOK史上、最も長い文章じゃないですか。」
とからかうように言った。
「よく言われるな。ま、無理に読まなくて良いよ。どうせ、大したこと書いてないから。練習みたいなものだから。」
と私は応えた。

「作家デビューするつもりだから、書ける場があれば、書くことにしてるんや。読んでもらおうと言うつもりはあまりない。いいね!の数も気にしてない。コメントも求めてないねんけど、わざわざコメントくれた方にはきちんと丁寧にコメントを返すようにしてるんや。」
と付け加えたのだが、すると彼女は、
「立命の先輩で私もよく知ってる作家さん、おられますよ。中尾さんが目指してはるのとは違ってノンフィクション作家なんやけど。」
と言って、紹介されたのが衿野未矢さんだった。

「ずっと独身を貫いたはってんけど、50歳を前にご結婚されて。幸せそうにしたはってんけど、今、闘病中でその手記を書かはって」
と言ってあげられたのが、冒頭の雑誌の一文である。
「先輩、是非、読んであげてくださいね。」
彼女が言うので、
「うん、分かった。」
いつもの調子で軽く返事した。その気がなくても、適当に流すように返事するのが、私の癖として染み付いている。尤も、自己弁護する訳ではないが、まともに、「時間がないから」とか「興味がないから」と言ってしまえば、気まずくなるだけで、大人の付き合いとして受け流しているつもりなのである。
とは言え、「闘病中」という言葉が少し気になったので、帰宅してからインターネットで「衿野未矢」を調べてみた。wikipediaに「衿野未矢」の記載があった。どうせ大したこともない作家なんだろうと思ったが、どうやらそうではなさそうであることが分かった。

立命館大学出身の作家には水上勉が有名だが、彼は1週間しか在学していない。有名になったお陰で名誉校友となったに過ぎず、原発に反対していた彼は、私が在学中に講演に見えられた時、福井の漁村では原発で苦しんでいると言うのに、その電気を使って真昼間から煌々と電灯を点していると、大学に対して批判的な言動をされていたのを思い出す。
横道に逸れてしまった。

他には脚本家とした名を馳せておられる井上由美子がいる。
他にも作家、文筆家はいらっしゃるのかも知れないが、私は知らない。
衿野未矢という方もその一人ということになるのだが、業歴を見ると多数の書をものしておられるのが分かった。とは言え、さして興味は湧かなかった。ところが、その翌日、インターネット検索したいると、ノンフィクション作家衿野未矢死去の記事が目に止まった。
知ったばかりで、死去の報に触れるとは、何とも言えぬ奇縁である。

急遽、気になって、後輩のTさんが勧めてくれた『新潮45』を手に入れて読もうという気になったのだが、地元の書店には何処を探してもなかった。注文という手もあったのだが、書店の店員が名前も知らない雑誌を注文するのも煩わしく、大阪にでも出た時に買うことに決めた。しかし、大阪に出る機会もなく、次に大阪に出た時は次号が発売された後だったので、古い号の雑誌を注文する気にはなれなかった。結局、自分で手に入れるのは諦めた。

その後で、Tさんにお会いした折に、事情を説明し、もし良かったら貸して欲しいとお願いした。それで、二週間前に開かれた県校友会総会にてお会いした時にお借りすることができたのだ。もう、忘れているのかと思っていたが、忘れずにいてくれたことが嬉しかった。

とは言え、なかなか読む間も無く、積ん読状態になるところだった。昨日、関東方面に出張となったので、バスの待ち時間に一気に読んだ。其れ程ながくないので、半時間もあれば十分読める

読んでみて、衿野未矢さんという方の人となりをほんの少しにしろ垣間見ることができた。
膠原病という病名はよく耳にするが、癌や脳梗塞、心筋梗塞などと同様に、ケースによっては死に至る重い病であることを初めて知った。

衿野さんの場合は、体の表皮が硬質化えるいは硬直化し、その症状は内臓にも及ぶのだと言う。そのため、注射針もなかなか刺し辛く、また、蠕(ぜん)動運動が麻痺し食事を摂っても上手く内容物が消化器官を通っていかず、消化困難となり便秘状態になったりすると言う。

かなり苦しんでいらっしゃった様子が分かる。夫の助けを得ながら、治療に努められた経緯が記されていたが、その過程で思考が巡り、所謂、婚期を遅れての結婚が正しかったのかなどとふと疑問に思われる。だが、辛い治療を重ねるうちに、
「この人と結婚できた私の人生は、本当に幸せだった」
と仰るまでになった。

手記を読み進むうちに、衿野さんが次第に死を強く意識されるのがひしと伝わってくるのだが、その中ではまだ生の延長上にある死という印象だった。つまり、死は意識しつつも、そこまで切迫してらっしゃらなかったのではないかと思う。

人が自分の死について考える時、死んでいるにもか関わらず、そこには必ず自分が介在している、と通常はそういうものであるように思うがどうだろう。

死後のことは自分が無の世界として捉えるべきである筈だが、そうはならずに傍観者として介在しており、その状況に対する印象も抱いている。つまり、死をリアルに意識することはできないのかも知れない、などと思う。
人間とは死ぬ瞬間まで、生き続けているということなのだ、と衿野さんの文章を読んで改めて感じた。

秋の夜長は三原陽子書(講談社)衿野未矢原作・原作協力の連載コミックスをお読みください。
カーテンコール
¥429円+税(26巻)
やめるもんか
¥429円+税(6巻)
今も愛読されています。よろしくお願いします。
*過日の十年不倫の紹介では1,200人を超える皆さまからご覧頂きありがとうございました。
女を苦しめる男の陰に病んだ女がいた…… 破滅覚悟で不倫に走ってしまう自動車会社のディーラー。

コリアンクラブにはまり、借金を重ねる営業マン。針で自分の体を傷つける有名大卒のフリーター……。依存症から抜け出せない男たちの陰には、心に問題を抱えた女性が存在していた! 現代人の病んだ人間関係に迫る異色ルポ。 <文庫書き下ろし作品>

今日は衿野未矢の月命日…依存症の専門家として「朝イチ」「さんまのホンマでっか」「ハーツタイム」などに出演しておりました。
女は「依存」でいやされる。
¥495円+税
Amazon等で中古本で販売しています。また、電子書籍でもご覧になれます。よろしくお願いします。
*【衿野未矢メモリアル】毎回1.000人を超える皆さまからご覧いただきありがとうございます。

SNS依存症にならないよう気をつけてねと衿野未矢の言葉が聞こえる…
Facebook.Twitter.instagram.LINE等々…知らずしらず依存度が高くなりますね…
気になる方は衿野未矢の依存症の書籍をお読みください。
依存症がとまらない ¥310円+税
今日も飲み続けた私 ¥715円+税
ひとりになれない女たち ¥571+税

人と人とのお付き合いを大切にしていた衿野未矢…いい人と出会う、つながる、関係を維持するための一冊です。
また会いたいと
思われる
人になるコツ
¥1.300円+税

衿野未矢が迫真の実例検証レポート「暴れる系の女たち」
誰も頼れない、自分一人で生きていかなくてはいけない…格差社会が女性たちを凶暴にした!
時には暴力に訴えても…生存競争に負けられない女性たちは必死に闘う。思いあたる方はお読みください。
暴れる系の女たち
¥1.400円+税

「一人でも生きていけそう」と言われたことはありますか?
あなたは「さん」の女?それとも「ちゃん」の女?女の運命をも分けていた呼ばれ方の奥深かさ。
周囲があなたを「さん」or「ちゃん」付けで呼ぶ本当の理由…
衿野未矢の一冊、気になる方はお読みください。
「さん」の女、「ちゃん」の女
¥1300円+税

人生の選択に迷い、仕事や恋愛にとまどい、思わぬトラブルに混乱する…
どうせ避けられない悩みなら、その時ちゃんと悩んでおこう。
 
きっと「次」へのステップに変えられるはずだから…
年齢も職業もさまざまな女性たちを数多く取材してきた衿野未矢…
彼女たちのリアルな心情に迫り、探りあてた「悩みを心の栄養にする方法」とは…
後悔しない生き方のヒントが、ここにあります。お読みください。
悩んだ数だけ幸せになれる
¥476円+税

不規則な食事、運動不足、ついつい夜ふかし、つきない悩み…ストレスいっぱいの毎日だからこそ快眠したい…
プチ不眠を克服した衿野未矢と睡眠学のプロがタッグを組む。
快楽だけの惰眠ではなく「幸せに生きるための快眠」を提案する。
眠れない本当の理由、寝起きのつらさと体質改善、恋愛不眠症…
元気とキレイを実現するためのヒント満載の一冊、ぜひお読みください。
「幸せな女」になれる眠り方
 ¥552円+税

衿野未矢からのメッセージ…これを読めばあなたも恋の「勝ち組」!  
このままつき合えば、あなたは「負け組」になってしまう!
依存症の女たちで注目の衿野未矢がダメ男の見分け方を鋭く解説。迷っているあなたの恋にもきっと答が…
恋は強気な方が勝つ
¥581+税

不安スパイラル…小さな不安をそのままにしたために…
さらに大きな不安の渦に巻きこまれ、出口が見つけられない心…
仕事・恋愛・人間関係・収入・年齢・将来…
衿野未矢が女性が抱く不安の実情を、多数の取材をもとに描き出し、そこからの脱出法を紹介する。
不安スパイラル
¥590+税
ryoichi kubotaさんの投稿から
【7日間ブックカバーチャレンジ7日目】
これは読書文化の普及に貢献するためのチャレンジです。
参加方法は、好きな本を1日1冊、7日間投稿すること。
感想文やおすすめポイントも書かなくていいのです。
ルールは2つ。
「本についての説明は無しで、表紙画像だけをアップする」
「その都度、FB友達1人、チャレンジに招待し、参加をお願いする」
では、7日目(最終日)
「あなた、がんばり過ぎてない⁉︎」
衿野未矢 著
2016年9月に他界した、私の友人でもあり、ノンフィクションライター。
着物姿がよく似合い、いつも笑顔が素敵でした。
皆さま、ここまでおつき合いくださりありがとうございました。
まだまだ、紹介したい本がたくさんありますが、先ずはこれまで。
次回はミュージシャン仲間の、はなこぷりんちぺ さんにバトンをお渡しします。宜しくお願いします。
#衿野未矢

隣のオジサマが悩めるあなたを救う?私、けっこう可愛いし、デートの経験もある。
でもなぜか運命の男性に出会えない……そんな「もてないスパイラル」から救うのはなんと!  
衿野未矢が放つ!目から鱗の開運術です。
男運を上げる 15歳ヨリウエ男
ー悩める女の厄落としー
 ¥330円+税と

愛する人と、心も体も満たされるために。 今あのコツとは?
衿野未矢が男女33人の肉声を詳細ルポしています。
セックレスな女たち
¥681円+税
結婚してから初の著書となる『セックスレスな女たち』が、祥伝社黄金文庫より発売されました。

「十年不倫」や依存症について取材を重ねるうちに、数多くのセックスレス夫婦と出会いました。当事者のホンネや、レス状態から脱出した夫婦の感動のドラマ、「維持するための工夫」など、さまざまなエピソードが手元に集まり「これは書かねばならぬ」と、企画を立てました。

その後、執筆を始めてしばらくしたら、シングルだった私に結婚話が持ち上がり。立ち位置が変わってしまったので、構成や取材や執筆をやり直しました。本の進行と、結婚式や披露宴、新婚旅行などの結婚イベントが並行するという、希有な体験でした。

そんなわけで、今回もまた、体当たりの取材・執筆となった『セックスレスな女たち』。実は担当の女性編集者も新婚です。

働く女性のホンネ爆発!キレる寸前のあなたに衿野未矢が捧げる10ストーリー。
さまざまな立場のOLが、悩んだり、落ち込んだりしながらも、活路を切り開いていく物語10編。
『日経ウーマン』掲載3編を含む。働く女性のホンネと転機を衿野未矢が追う。 
平成OLお局未満物語 
¥770円+税

月刊1000万部を誇るレディース・コミック。
衿野未矢はその閉ざされた物語の構造、恋愛形態、男性像、セックス描写、作者の世界、読者の受容の位相などを多角的に解析し、シンデレラ症候群、結婚願望に包まれた現代女性のかたちを明らかに…
大きな話題を呼んだ同書に、その後の情勢の動きを加筆した増補改訂版があります。
レディース・コミック女性学
¥1,000円