アウトリーチ事業秘話②
アウトリーチへの取り組みは、ホールがオープン後の 2、3 年は、地域へ出る余裕はなく、職員の理解も得られなかったという現実がありました。
そんな中、地域創造のステージラボ研修で遣唐使(職員)として学んで来た職員が、「アウトリーチに取り組みたい」と言ってきます。これをきっかけとして、ア ウトリーチプログラムを積極的に取り組むことになります。(アウトリーチ事業秘話のとおり…)
アウトリーチ事業秘話の画像⬇️
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ようやく公約を果たせることとなり、成果が見え始めます。アウトリーチ活動は、芸術文化普及活動、地域との利便性の平準化、学校教育との連携強化、行政や地域住民の理解や聴衆の拡大、芸術家との密接なつながりなど、多くの利点がありました。
平成11度は自主財源を活用してアウトリーチ事業に取り組みます。学校訪問コンサートはリコーダー界の第一人者で当館のリコーダーセミナーの講師の吉澤実さんに依頼します。
小出郷文化会館の大切にしている「子どもたちの感性を磨く教育の場」を吉澤さんは充分理解しています。「世界の不思議な笛たち」と題して小出小学校(4年生)、井ノ口小学校(4年生)、堀之内小学校(6年生)で訪問コンサートを行います。
リコーダーの美しい音色は児童の心を鷲づかみにします。10種類はあるリコーダーの巧みな解説と演奏は音楽の楽しさを伝導しています。
また、東京佼成ウインドオーケストラの首席クラリネット奏者で吹奏楽テーチング&クリニックの講師の関口仁さんからも人肌脱いでいただきます。
原小学校(2〜4年生)、入広瀬小学校(4年生)、広神西小学校(4年生)を訪問します。4年生をターゲットにしたのは、来年の羽田健太郎さんのヤングピープルコンサート(5年生)に招待することから事前に音楽体験してもらう意図がありました。
自ら「学校を回りましょうか?」と申し出てくれた関口仁さんは「この仕事を終えたときのこの爽やかさはいったいなんだろう。本当にいい経験だった」と語っています。
アウトリーチは止まらない…羽田健太郎のヤングピープルコンサートの新星日本交響楽団のオーボエ奏者の庄司知史さんとチェロ奏者の福山忠雄さんはYPコンサート前に12小学校で訪問コンサートを試みます。
地域訪問コンサート(サロンコンサート)は守門村の豪農目黒邸でのリコーダーとリュートの「落ち葉舞い落ち葉コンサート」です。企画は良かったのですが大きな壁が立ちはだかります。
目黒邸は国指定の重要文化財で、歴史上.芸術上の価値の高いものであり、コンサートは禁じられていました。囲炉裏端は天井が高く、心地よい響きが醸し出される空間なんですが…
私は当たって砕けろ精神で守門村の教育員会に伺います。当時の高橋教育長は少し難色を示しましたが文化庁に交渉してくれます。また、最高責任者の野村村長にも前もって経過を伝えています。
文化会館の建設にも関わり芸術文化普及活動に理解を示してくれたお二人です。いろんな制約はありましたが、使用許可がおりたのです。野村村長と高橋教育長のご尽力なくしては到底できない難題でした。
平成11年11月9日、リコーダー(吉澤実)とリュート(永田平八)によるデュオコンサートは豪農の館で囲炉裏火がゆらゆらと揺らぐ中で、グリーンスリーブス(イングランド民謡)を奏でます。豪農ならぬ教会のような響きで観客を魅了しています。
「イタリアン グラウンド 」リコーダー&リュート
リコーダー:吉澤実、リュート:永田平八によるデュオ。CD「グリーンスリーブス」に収録されています。お求めはホームページまで。https://lute21jp.wixsite.com/lute-lessonキラリ☆ふじみ・メインホール(埼玉県富士見市民文化会館)録音・マスタリング:小川 洋(スタジオ プラン*プラン...
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これを契機に企画運営委員でピアニストの志田梨花子さんを中心とする有志が毎年、目黒邸コンサートを展開するようになります。一点突破全面展開へと広がります。
このことにより各町村の学校と教育委員会との連携が深まり、会館のコンセプトに理解を示し、より協力的になり、当時の課題であった広域圏での芸術文化活動の均一化が少しずつ図られていきまます。
当時の須佐入広瀬村長が「村民が小出郷文化会館で鑑賞したり、利用することはない」といわれたことが頭の中から離れません。なんとかこの課題を克服したいと考えていました。
小出郷文化会館では自主事業「バントやろうや」を開催して、低価格で練習室を開放したり、成果としてバンドフェスティバルを開催していました。
「そういえば入広瀬村に野外ステージがあるよな、アウトリーチバントフェスティバルを開催したらどうか…」、野外ステージは稼働が殆どなく老朽化が進んでいました。
入広瀬村役場に相談しましたら、不安そうでしたが何とか受け入れてくれました。平成11年9月5日、バントフェスティバルin鏡ヶ池を開催する運びになり、須佐入広瀬村長が開会の挨拶に訪れ、大変喜んでくれたので、間髪入れずに来年の開催も約束します。
遡ること5年前(小出郷文化会館オープン前)、魚沼太鼓を結成するにあたり、練習会場を入広瀬スポーツセンターを提案したことがあります。入広瀬会場は太鼓が沢山常備していて、大勢で練習したり、制作するのに最適だったのです。
「入広瀬を魚沼太鼓の練習拠点にしましょう!」、「本当だかや!小出じゃねいがんか?」、「入広瀬は最高の練習会場ですよ!」、「おまえの考え、気に入ったいや、ヨシ、入広瀬でやろううぜ」…この頃からアウトリーチの思考がありました。
こんな経緯もあり、入広瀬の文化団体と交流が進み、小出郷文化会館のスタンスを理解してもらえるようになります。交流が深まるに連れて、学校訪問コンサートや地域訪問コンサートの受け入れがスムーズになりました。
アウトリーチ事業によって地域社会とのつながりが拡大し、地域から会館の意図を認知してもらえるようにもなります。地域から必要とされてこそ公立文化施設と言えると思うようになります。
平成12年度は(財)地域創造の音楽活性化事業の補助金を獲得して、アウトリーチ事業の充実を図ります。また、新たに社会包摂的な福祉施設への訪問コンサートにも挑戦します。
つづく
付録
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アウトリーチの進め 小出郷文化会館⬇️
https://www.jafra.or.jp/fs/2/5/1/5/0/_/02_05.pdf
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