結(ゆい)の精神をまちづくりに
『結』の言葉を知っていますか?私は結にこだわりをもってまちづくりに参加していました。
「結」とは日本の農村社会にみられる協働の慣行で〈結う〉〈結ぶ〉つまり結合、共同を意味する言葉です。また〈手間換〉〈手間貸〉とも言われており、交換的な共同労働を意味します。
当時、私は合併事務局から記念イベントのアドバイザーを任されており、「結」の文字は合併記念事業実行委員会のワークショップから生まれています。
魚沼市の合併ビジョンは「人と四季かがやく雪のくに」で市民108人が検討し提案したものです。その心は行政と市民が協働するまちづくりをする事を結の精神で誓いました。
魚沼市誕生の9日前、未曾有の中越大震災が襲い多難なスタートになり、市が誕生しても旧町村体制で復旧対応を余儀なくされます。
このような中、行政や地域住民が協働して復旧にあたり結の精神が発揮されました。
翌年から更に結を定着させるためにプロジェクト結実行委員会を立ち上げます。
組織はNPO法人などのまちづくりの団体や地域行事、イベント団体に行政課も参加いただいて市のビジョンを反映するべく民官協働体制としました。
目的は災害続きの魚沼市が災害の無い地域になるように、人と人の結びつきによる助け支え合う結の精神を大切に豊かな暮らしができるよう祈願し、市内一斉に灯りを灯すことにしました。
1月から3月までの冬のイベント、祭り、行事を結の灯り(結ローソク)で繋ぎ魚沼市の新しい観光イベントとして発信することです。
全市民が結ローソクを2本灯します。1本は災害の無い魚沼市を祈って、もう1本は自分のために灯します。
当時の魚沼市民は44,000人、市民が一斉に灯すと〜結〜8万8千の結灯りが魚沼市全域に広がります。雪灯りはなんともいえない美しさと温もりがあり心を暖めてくれます。
結の意味と精神が少しずつ浸透しました。震災から10周年を契機に魚沼雪洞まつりに名称を変え冬の観光イベントとして結の精神は受け継がれています。
元プロジェクト結実行委員長(平成ま17年〜26年)桜井俊幸 拝
北越銀行memory寄稿より
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