魚沼市小出郷文化会館名称秘話!

平成8年6月9日にオープンした当時の名称は小出郷文化会館です。とはいえ、はじまりは名称を公募をしてクリスタルホールに決定していたのでした。

クリスタルのイメージは6ヵ町村の融合と広域圏が結束し、文化活動が輝くホールに成るようにと表現され、クリスタルホールを選考しています。

クリスタルという名称は一見美しい感がありますが、一方で風俗店の名称にも使われていて、クレームがあることから幻の名称になっています。
館長就任時に改めて事務局内で数回に及ぶ検討会議を重ね、結果は6ヵ町村を総称して小出郷広域と呼んでいることから、小出郷文化会館に絞り込みます。

また、私は大小ホールにも名称が欲しいと提案します。館長に就任して間もなく、上司が病気入院したため職員として、建設中の文化会館建設管理の任を受けます。

大長工務店で設計施工管理の仕事をしていることから心よくお引き受けします。住民による育む会で設計提案した通りに施工されているか確認も出来ました。
周一回の工程管理会議に発注側として出席します。元請けのF建設会社は私の工務店では下請けをした事もあって、立場が入れ替わります。

工程会議でサイン工事について説明を受け、大・小ホールの名称が無いことに気づきます。サイン担当にお願いすると工程内に間に合うらしく、早速持ち帰り検討します。

会館のコンセプトや建設、運営を検討してきた「住民による育む会」の基本構想と館長就任時にお示ししたマニフェストを基準に名称案を考えます。 
大ホールは文化の芽が芽吹くようにと「ふきんと(ふきのとう)ホール」と命名、住民の皆さんが鑑賞や育成、発表の場として様々な事業展開出来るようにと思いを込めます。

また、小ホールは会館のコンセプト、子どもたちの感性を磨く教育の場として「ゆきんこホール」と命名、子どもたちに音楽教育や鑑賞、発表の場として活かしていく理念を表現します。
「ふきんと」と「ゆきんこ」の頭文字はふゆ(冬)で雪国文化を表し、中文字のきん(金)は魚沼文化の宝物を意味します。後文字のとこ(床の間・神様)は地域文化と人材が育つことを願っています。

さらに、3階の名称は雪国文化にちなんで、かまくらサロンや雪のテラスと決めており、会館名称にはそれぞれに思いが込められています。
これらを住民による育む会や広域事務局会議で説明、ほぼ満場一致で理解を得た後に、広域事務組合の議会において変更が承認され、名実ともに小出郷文化会館という名称になりました。

平成16年11月1日、小出郷広域は合併により解散し、魚沼市が誕生します。会館の企画運営は市の文化振興課に託され、合併調整事項として会館の名称についても議論しています。

魚沼市になっても名称がなぜ小出郷文化会館なんだと異論が出る一方で、小出郷文化会館は全国的に知名度があるから残して欲しいと言う声も上がります。
会館の5年に一度の市民アンケートでは、90%弱が現名で良いという結果が出ますが、双方の意見を尊重するようにと、頭に魚沼市をつける案に落ち着きます。

魚沼市民が集う文化芸術の拠点が名称で混乱しないように、折衷案ではありましたが、名称は魚沼市小出郷文化会館で決定を見たのでした。

長きにわたり迷走した魚沼市小出郷文化会館名称秘話でした。

コーポA&O (桜井俊幸.A&O企画)

【桜井俊幸】 魚沼市生まれ。魚沼市小出郷文化会館を18年は5ヵ月務め名誉館長。後に(公社)全国公立文化施設協会(参与)と文化芸術による復興推進コンソーシアム(東京事務所長)。全国国民文化祭総合コーデネイターなどを歴任。 【コーポA&O】 魚沼市内に5棟や駐車場を経営している。 【あんさ&おっさ】 昭和56年、桜井俊幸、治兄弟で結成したオリジナルフォークデュオです。今年8月44年目を迎える。

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