アウトリーチの成果と課題
平成10.11年とアウトリーチ事業に取り組んで様々な可能性が見えてきます。
アウトリーチによる住民への働きかけは、芸術を体験したことがない、あるいはチャンスのなかった住民が触れる機会を創出しました。
また、小出郷文化会館利用者の潜在層を開拓し、顕在層へと移行させていく可能性を、アウトリーチはもっていと感じるようになります。
アウトリーチの先駆者のお一人、トリトン・アーツ・ネットワーク(TAN)の箕口一美ディレクター曰く「小さい人数、小さい会場、短い時間で尚且つ演奏家の力が成功の条件」と言わしめ共感していました。
平成12年度は(財)地域創造から補助金を獲得して「〜ふれる、ふるえる、ふえる〜みつの『ふ』プロジェクト」に取り組みます。
第1回.2000.6.26 城山トンネル 入場者133人
高木和弘(バイオリン)黒住さやか(フルート) 学校訪問 湯之谷中学・堀之内中学
失態秘話1.この発想は、私が平成4年に守門村と栃尾市をつなぐ石峠トンネル開通コンサートに招聘されて、すでに経験していたことに起因します。
音の響きは塒を巻くような長い残業が生じますが、入口から数十mの所にへそがあって、残響が安定する場所があります。なので残響については心配はしていませんでした。
ここまでは良かったのですが、この時期は梅雨でトンネル内の天井には結露が生じて、演奏中に時折りぽたりぽたりと水しずくが落ちてきます。
稀有な会場から新しい聴衆が沢山来てくれたのは良かったのですが、アーティストと楽器に水しずくが落ちて、大変なご迷惑をおかけする大失態でした。
城山トンネルコンサート
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第2回.2000.7.7 宮柊二記念館 入場者120人
山崎祐介(ハープ)学校訪問 湯之谷つくし保育所・湯之谷中学
失態秘話2.こちらは宮柊二記念館友の会員の皆さんが会場を舞台美術で演出します。日本一のユリの花を真横に山崎さんとハープが映えます。
クラシックの演奏は少しの雑音も許されません。なので、エアコンの音も自動販売機の音も雑音になりますので、コンサート中は電源を切りました。
ホール空間に近いベストな環境を用意したつもりが…会場は満席で気温が上昇します。前半が終了すると山崎さんは汗だくになって、会場から外へ飛び出してくるといった不手際になります。
音楽鑑賞会場を最善な環境になるよう追求したつもりが、アーティストとお客様に辛い思いをさせてしまいます。またもや大失態でした。
宮柊二記念館コンサート
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第3回.2000.9.5 神湯温泉倶楽部ロビー 入場者95人竹村浄子(ピアノ) 学校訪問 入広瀬小学・小出中学
失態秘話3.神湯温泉倶楽部のロビーは温泉客で出入りが多い場所です。そこをコンサート会場にするには、入浴するお客様との導線を切り分けする必要があります。
展示穴あきパネルを立て通路を作り、レセプショニストから温泉に誘導してもらいますが…話し声がしたり、戸の開閉音がするなど入浴時間が終了するまでは気が気でありません…失態続きで大いに反省です。
神湯温泉倶楽部ロビーコンサート
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第4回.2000.10.19 守門村議会議場 入場者120人
沢崎恵美(ソプラノ)中鉢聡(テノール)瀧田亮子(ピアノ)
学校訪問 入広瀬中学・守門中学
〜アウトリーチの成果と課題〜
成果は各コンサートでアーティストの熱演により、非常に大きな好評を得ます。これを継続することにより、クラシックを毛嫌いせず楽しむ人たちが増えていくように感じました。
意外性のある会場での演奏会は、その都度新聞各紙で取り上げれられるなど偉く注目を集めます。このことにより、文化会館の運営方針にも地域理解が深まります。
各コンサート設営に、地域コミュニティ各層の協力を得ます。これを切っかけに地域アートマネジメントが育つ可能性を感じました。
課題はホール環境と異なる様々な会場で、どれくらいホールと同じような環境をアーティストに提供していけるか、場所.季節.環境等で慎重な検討が必要になります。
更に幅広くコンサート会場を用意して、如何にクラシック音楽と日常をつなげることができるか、このような機会を数多く提供する必要があります。
アーティストのホールでの演奏会を創出して、ホールにお客様を誘導する仕掛けが欲しい、アウトリーチからツモへの発想が頭をよぎります。
〜アウトリーチからツモへ〜
麻雀はリーチして自らツモるベストな勝ち方があります。アウトリーチもお客様をホール誘導する会館の新たな聴衆を増やすといった企画を考えたい。
企画は小出郷内外で6ヶ所のサロンコンサート、12ヶ所の学校訪問コンサートの後、すべての出演者がホールに一堂に返して演奏会を行うというプログラムです。
このような取り組みから、アウトリーチからツモへのシナリオが成功するかもしれないと安易に考えていました。
平成13年度は日本芸術文化振興会の助成金を得て、星はすばる「サロン・コンサート・シリーズ」とフランス・ガラ・コンサート「ソリストたちが奏でるフランス音楽の花束」に挑戦することになります。
難題秘話5.企画は良かったのですが…この事業の全体のプロデューサーは、会館オープン前から芸術情報プラザ等でお世話になっている宮澤敏夫さんです。
宮澤さんは大阪フィル首席コントラバス奏者から事務局長。その後日本演奏連盟事務局長を経て札幌交響楽団事務局長、長野県伊那文化会館館長、静岡交響楽団の専務理事を歴任しています。
澤さんがキャスティングしたアーティストは日本を代表するクラシックのソリスト(首席奏者)ばかりです。
宮澤さん曰く、「アウトリーチはいい取り組みなんだが、これだけの演奏者なんだから、会場をコンサートホールに限りなく近い環境に整備しなければ演奏会は出来ないからね」と開口一番に苦言を喰らい、難しい難題を抱えます。
これまでの失態を思い浮かべながら、大工の館長としては受けて立ち、やってやろうと意気込みます。日本を代表するピアニストの弘中孝さんからのご助言で特設ステージと特設反射板を製作します。
弘中さんは「日本で一番響きの良いホールはヒノキをぎっしりこば立に張り詰め、観客に向かって貼ってあり、最高な響きなんだよ」と業界の秘密をそっと教えてくれました。
澤さんがキャスティングしたアーティストは日本を代表するクラシックのソリスト(首席奏者)ばかりです。
宮澤さん曰く、「アウトリーチはいい取り組みなんだが、これだけの演奏者なんだから、会場をコンサートホールに限りなく近い環境に整備しなければ演奏会は出来ないからね」と開口一番に苦言を喰らい、難しい難題を抱えます。
これまでの失態を思い浮かべながら、大工の館長としては受けて立ち、やってやろうと意気込みます。日本を代表するピアニストの弘中孝さんからのご助言で特設ステージと特設反射板を製作します。
弘中さんは「日本で一番響きの良いホールはヒノキをぎっしりこば立に張り詰め、観客に向かって貼ってあり、最高な響きなんだよ」と業界の秘密をそっと教えてくれました。
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